2018-01-12

【追記@2018】BMW 3シリーズ(F30)、後輪駆動(RWD, FR)だけど雪道運転の総合力は国産生活4WDより上 ~雪国生まれ雪国育ちでクワトロから乗り換えたばかりの人のリアルな体験談~

【初稿@2017/01/18 17:39】
先週末、最強の寒波(?)に見舞われた日本列島。
皆様、事故なく無事にいなされましたでしょうか。

そんなわけで、ちょっと前までアウディのクワトロに乗っていた私(雪道運転ですっかり楽を覚えてしまった)が、後輪駆動(RWD, FR)であるBMW 3シリーズ320dでガチな雪道に挑んでみた感想なんかを書いてみたいと思います。


本題に入る前に。

今回の寒波ですが、数年に一回とか最強寒波とか言われていたものの、雪国住まいからすれば概ね年に1~2回あるよね的な『あるあるレベル』でした。
ここ最近この手のことを大袈裟に言うのは、正常性バイアスを排除するためとか聞いたことがありますが。。
大袈裟に言って空ぶった場合には、その後、正常性バイアスがさらに強くかかる結果になるため、イタチゴッコというか逆効果な気がします。
こういうのって、見聞きするだけじゃダメで実体験として体に刻み込まない限り、真の理解は難しいんですよね。
なので、VR等を活用してこういうことの疑似体験なんかが出来るようになれば、効果的なんじゃないかな~って思ったりします。


・・・で、閑話休題。

そろそろ本題に入りましょう。

そんな『雪国あるあるレベル』の寒波だった、今回の(そこそこの)大雪。
おかげで、なかなかいい感じに積もってくれました。

今シーズン初めての本格的な積雪 イコール BMW 320d(通称 F30dM)・・・というか人生初の後輪駆動(RWD、FR)で初めての本格的な雪道を走ることになったわけですが。
そんなこんなの感想を、まずはざざっと列挙してみましょう。
  • 走破性能・走行安定性・スタックしにくさを総合的に考えて、一般的な国産FF(FWD, 前輪駆動)よりは全然上で、いわゆる生活4WDの国産車よりもともすれば上かもと感じました。これについては、後ほど詳述します。
  • さすが後輪駆動(FR, RWD)だけあって、滑るときはもっぱら後輪が滑りました。でも、操舵を受け持つ前輪が滑ることはほとんどなかったので、前輪駆動(FF, FWD)のようなハンドル切ってるのにクルマの向きが変わらなくてどうしようもない状態になる可能性は低いと思います。
  • DSC(Dynamic Stability Control)の制御が秀逸で、横滑りがこれ以上行くと不安だなってところで絶妙に介入してくれます。これ、車体のコントロールよりも、ドライバーの心理面を優先している気がしますね。このため、後輪が滑ったとしても軽くカウンターを当てればすぐに思い通りの姿勢に戻り、全く怖さを感じませんでした。
  • DTC(Dynamic Traction Control)がかなりよく出来ています。消雪パイプでグチャグチャになったところ、かつグレーチングの上といった極限低μ状態で一瞬ハマりかけましたが、DTCオンで前後に揺さぶってトラクションをしっかりかけてやったら簡単に脱出できました(これについても後ほど詳述します)。この調子なら、多少 腹(下回り)に雪を抱えても自力で何とかなる気がします。
  • たぶんですが、気温が低下するとエンジンブレーキが強めにかかるようになっていると思います。アクセルオフ時に、ATの方が勝手に積極的にシフトダウンしてくれるんですよね。おかげで交差点などは安心して止まることができ、なかなか考えてあるなと感心しました。ただしその分、後続車の追突が怖いので、ブレーキランプを光らせる程度にブレーキペダルを軽く踏んでおく必要はありますけど。
  • 人気のない駐車場で、DSCオフでドリフトしたらめちゃ楽しかったです(笑) その際のコントロール性能が秀逸なのは言うまでもなく。単に静的な前後重量配分がいいばかりでなく、重心からの重量の分布具合(あらゆる方向に対する走行時の動的な重量配分)なんかも素晴らしい証左なのかなと思います。


ちなみに私、これまで雪道でじっくりと運転した経験がある普通車は、EGシビック(FF)/CFアコード(FF)/初代フリード(FF)/初代フィット(4WD)/先代カローラフィールダー(4WD)/先代インプレッサ(4WD)/B8A4アバント(4WD)といった面々です。
これらは自分で所有していたもののほか、社用車も数台含まれています。

この中でF30dMがどの辺に位置付けられるかいったら、
B8A4アバント(4WD) > 先代インプレッサ(4WD) > F30dM(FR) ≧ 先代カローラフィールダー(4WD) > 初代フリード(FF)
って感じです。

さすがにインプの4WDには勝てないと思いますが、今回くらいの雪で普通のシチュエーションだったらほとんどその差を感じないくらいでした。
もっとも、無除雪の駐車場で深雪にハマったり、砂利道の上の積雪路を走るなんて場合には、当然ながらF30dMはスタックする可能性が大となりますが、それ以外のごく普通のシチュエーションだったら、国産生活4WDの代表格カローラフィールダーよりも、ともすれば上かなって思った次第です。

余談ですが、これ、走破性能・走行安定性・スタックしにくさを総合的に考えてのことなんですが、スタックしにくさを除けば完全に先代カローラフィールダー(4WD)よりもF30dMの方が上ですね。
スタックのリスク度合いはさすがに4WDには勝てないでしょうから、それで点数を落としたというだけで、それ以外の点ではFRのF30dMの方が、国産生活4WDの代表格カローラフィールダーよりも勝っていると思います。


スタックと言えば、危うくそれに近い状態になりかけたのが冒頭のこのシーン。
F30dMの前にグレーチングがありますよね。
雪とグレーチングって、組み合わせるとめっちゃ低μになるのですが。
さらに悪いことに、無除雪の状態を消雪パイプのみで消そうとしてグッチャグチャの高含水率な荒らされた雪がグレーチング上を覆っているという、これ以上ないくらい低μコンボなシチュエーション。
これ、下手すると餌食になってスタックしちゃいます。

ですが、これを使ったら大丈夫でした。
DSCオフでDTCオンなこちら。
似たようなアルファベットなので混同しがちですが、その役割はまったく違います。

DSCはDynamic Stability Control(直訳:動的安定性制御)で、タイヤが滑ると出力を抑える等してそれ以上滑らないようにする仕組み、つまりトラクション(駆動力)を下げるものです。
DTCはDynamic Traction Control(直訳:動的駆動力制御)で、ぬかるみや深雪などから脱出する際に駆動力を最も効率よく駆動輪に与える仕組みで、ある程度の横滑りを許容してでも積極的にトラクション(駆動力)を上げるものです。
つまり、駆動力(トラクション)に対する働きという観点に立てば、真逆とも言える仕組みなのです。

(この作動に関する詳細は、下記リンクをご参照下さい。)

で、先ほどのウルトラ低μコンボなシチュエーションでDSCオフでDTCオンにしたらあら不思議、すんなり脱出できました。
まあ多少、前進したり後進したりといった振り子打法ならぬ振り子脱出法は使いましたが、一往復程度やれば脱出できたので、全然余裕といったところです。

このシチュエーションで、たったの一往復程度の振り子脱出法で脱出できたということは、多少 腹(下回り)に雪を抱えたとしてもスタックせずに自力で何とかなりそうです。



そんなこんなで、F30dMに乗る換える際にもっとも心配していた「雪国でのリアルな冬で困ることはないか」といったことに関し、まったくの杞憂であることが証明されました。

そんなわけで、雪を制した記念の一枚がこちらw

そうそう。
そういえばワイパー立てる時って、取説によれば「IGNオン→すぐ切る→ワイパーレバーを上に押し込んで数秒ホールド」ですが。
実は、エンジンを切ってIGN(電源)を落とした直後にワイパーレバーを上まで押し込めば、ワイパーが立ちました。
つまり、IGN(電源)落としてすぐのタイミングであれば、その前にエンジンがかかっていようがいまいが、ワイパーレバーを上まで押し込んでワイパーをスタンドポジションにできるということみたいです。
雪関係のTipsですが、単独で記事に起こすほどのそれではないので、こちらで触れさせてもらいました。


そんなこんなで、BMW 3シリーズはAWDであるxDriveじゃなくても(つまり後輪駆動・RWD・FRでも)、雪国でのリアルな冬を乗り越えられるよといったところで、締めたいと思います。

それにしても。。
杞憂でよかった~(ホッ



【追記@2018/01/12 19:29】
現在、日本海側を中心に襲っている大寒波@2018


今回は珍しく日中にたくさん降ってくれたおかげで、仕事を終えて駐車場に行くとF30dMのフロントバンパーが30cmほど埋もれていました。
でも、DTCオンにして2回ほど行ったり来たりしたら、すんなり出れてビックリ。
しかも、横滑りも生じずに乗り越えられ、この力強さは本当に頼りになります。

その後に通った帰り道も、そこそこ圧雪やら崩された轍やら凍りかけた場所やらありましたが、何も困ることも怖い思いもせず、思ったより全然余裕で自宅付近へ。
ですが、ここが最後の難関だったりします。

というのも、自宅付近の大通りから細い市道に入ると除雪状態が悪くその路面は10cm近くの圧雪、しかもそこから我が家の前面道路である私道に入るとさらに圧雪が厚くなってしかも無除雪状態になっていたのです。


でもこれも難なく乗り込んで通過し、車庫入れも難なくクリア。
50:50の前後重量配分は後退時にも有効で、車庫入れで困ったことはありません。

ちなみに前輪駆動(FWD, FF)の場合、後退時にはRR状態になるわけですが、これが車種によっては非常にコントロール性が悪く、しかもハマりやすかったりします。
この点、フロントミッドシップであるBMWのFRモデルは、前にも後にも安定して進めますね。

それにしても今日はなかなか降っている方ですが、全然余裕な感じでした。
周囲の国産ミニバン(たぶん4WD)の方がよっぽど頼りない感じでしたね~。運転手の技量もあるのかも知れませんが。

そんなわけで今年も、BMW 320d (F30) は後輪駆動(RWD, FR)であっても、周囲が苦戦する中でも大して困ることなく走行できるということが分かったと、追記しておきます。


んでは!


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